UMA-YUME ブログ

競馬ーギャンブル=ロマン

名レース列伝 第8回 「第53回安田記念(2003年)」

f:id:UMA_YUME:20190402202549j:plain]
○基本情報
 日時  2003年6月8日
 競馬場 2回東京6日目
 距離  芝左1600m
 馬場  芝 : 良
 結果  1着 アグネスデジタル
     2着 アドマイヤマックス
     3着 ローエングリン

db.netkeiba.com

○背景

第8回目の名レース列伝は第53回の安田記念です。
春のマイルの王者決定戦となる安田記念は、ダービーの翌週に東京競馬場で行われます。
毎年有力馬が集結するレースですが、この年も複数の有力馬が集まる混戦模様でした。
本来であれば南部杯天皇賞秋~香港カップフェブラリーステークスと距離・場所・馬場を問わずG1を4連勝を記録して実績では圧倒的なアグネスデジタルが人気になるはずでしたが、フェブラリーステークス後の海外遠征のドバイと香港で敗退しその後故障で休養に入り、前走の地方交流競走のG3かきつばた記念で約1年ぶりの復帰を果たすも4着であった為、全盛期は過ぎてしまったとの見方もあり本来の力を取り戻しているか判断に迷う状況で人気を落としていました。
変わって一番人気になったのは前年のクラシックでは結果が出ませんでしたが、その後距離を短くしてから結果を出し中山記念マイラーズカップというG2を連勝中の4歳馬のローエングリンです。
2番人気も同じく4歳馬で前年のNHKマイルCの覇者テレグノシスで、NHKマイルCの後は勝ちに恵まれていませんでしたが前哨戦のG2京王杯スプリングCを勝利して臨みます。
ちなみにテレグノシスは主戦の勝浦騎手が騎乗停止中でしたので、当時短期免許で来ていた若き日のミルコデムーロ騎手が手綱をとっています。
そして3番人気は前年の宝塚記念のの優勝場で、これまたその後勝ちに恵まれていませんでしたが前走のG3新潟記念を勝利して復活したダンツフレームで、実績一番のアグネスデジタルは4番人気に甘んじていました。
復活を目指す古豪アグネスデジタルに、4歳5歳馬が挑む構図でのレースとなりました。

○レース

人気こそ4番人気ではありましたが実績一番のアクネスデジタルと、新鋭ローエングリンの出だしに注目が集まります。
まず注目は逃げもしくは2番手の競馬を続けていたローエングリンの位置取りですが、スタートを決めて外から先頭を主張するミデオンビットを行かして2番手で折り合います。
アグネスデジタルは2枠からのスタートでそのまま馬に任せて中段のインコースにつけ、大外枠スタートのテレグノシスアグネスデジタルと同じような位置の外につけ、ダンツフレームは先行の4番手の内側につけます。
ペースは速くもなく遅くもない平均ペースでレースは進み、また内側が有利の馬場状況でもあった為先行して内ラチ沿いを走るローエングリンには絶好の展開となりました。
そのままのペースでレースは進み直線に入りますが、ペースが速くなかったため先行した馬も力を残しており後方の馬との差が中々詰まりません。
ようやく2番手にいたローエングリンがラスト200mで逃げ馬を交わし一馬身ほど抜け出し先頭に躍りでて、そこから懸命に逃げ切り体制に入ります。
それを追い上げるのが外枠からいつのまにか内に潜り込んでいた伏兵アドマイヤマックス、そして外に持ち出して懸命に追いかけるアグネスデジタルです。
ダンツフレームは内側からじわじわと追いかけますが先頭争いには加われず、テレグノシスも外から延びあぐねていました。
そして、アドマイヤマックスローエングリンとの差を徐々に詰め、ラスト100mを切って残りわずかとなったところで馬体を合わせてかわしにかかります。
アドマイヤマックスローエングリンを交わして先頭に躍り出たと思った直後、それをすぐ外からアグネスデジタルが襲い掛かり首差だけ交わしたところでゴール。
着差は本当にわずかでしたが、見事古豪アグネスデジタルの復活劇で安田記念の幕は閉じました。

○感想

今回の安田記念では全盛期を過ぎたと思われていた古豪に、勢いのある若馬が挑戦するという構図でしたが、見事古豪復活という形で終了しました。
アグネスデジタルの勝タイムはオグリキャップのもつレコードタイムを更新するコースレコードで、古豪復活に花を添えました。
春競馬の古馬のレースは、前年までクラシックを走っていた馬が古馬に挑む形が多く、若い挑戦者が世代交代をみせつけて新しい時代を示してくれますが、それをはじき返すアグネスデジタルの底力を見た気がします。
もちろんアグネスデジタル自体がG1のみを4連勝できるようなもともと強い馬ではありましたが、この後のレース見ますと全盛期はやはり過ぎており意地でつかみ取った勝利だと思います。
これでアグネスデジタルはG1も6勝目で、芝ダート、国内海外問わず4年連続G1勝利という歴史に残るオールラウンダーとして息の長い活躍となりました。
このレースがアグネスデジタル最後の勝利となってはしまいましたが、若い馬に立ちはだかる古馬の壁として最後の力を振り絞ってくれたのではないでしょうか。

○リンク 

youtu.be