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名レース列伝 第4回 「第3回NHKマイルカップ(1998年)」

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○基本情報
 日時  1998年5月17日
 競馬場 2回東京8日目
 距離  芝左1600m
 馬場  芝 : 稍重
 結果  1着 エルコンドルパサー
     2着 シンコウエドワード
     3着 スギノキューティー

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○背景
第4回目の名レース列伝は第3回のNHKマイルカップです。
今と違い当時は外国産馬がクラシックや天皇賞に出走することができなかったため、3歳春の時点で外国産馬が出走できる唯一のレースで丸外ダービーとも言われてました。
現在は内国産馬の力が上がったことと、為替や景気等の影響で海外のセリで日本人馬主がそれほど影響力が無くなり大物外国産馬が少なくなったこともあり、その隔たりがなくなりクラシックも天皇賞等も外国産馬に開放され、今となっては丸外の響きが懐かしい限りです。
この年の3歳馬は豊作で、クラシックではスペシャルウィークキングヘイローセイウンスカイがしのぎを削り、外国産馬としてもエルコンドルパサーグラスワンダーという2頭の怪物が揃ってました。
このHHKマイルカップは、当初前年の朝日杯を圧勝して怪物との評価を受けていたグラスワンダー、前年の秋にデビューしてからダートを大差で連勝し前哨戦のNZT3歳Sも勝利して芝適正も示した未知の強豪エルコンドルパサーの2頭の怪物外国産馬が初めて対決する予定で、また、両馬の主戦ジョッキーであった的場騎手がどちらに乗るかも話題となっていました(的場騎手はグラスワンダーを選んでいたようですね!)。
しかしグラスワンダーが故障により回避することが決まり、エルコンドルパサーが断トツの一番人気でレースを迎え、騎手も的場騎手が務めることとなりました。
グラスワンダーが回避したとは、トキオパーフェクトロードアックス・シンコウエドワードという3頭の無敗馬が出走し、のちのGI場であるエアジハードマイネルラブも伏兵として単勝1.8倍の圧倒的一番人気エルコンドルパサーに挑む形のレースとなりました。

○レース
グラスワンダーがいなくなった今、レースの興味はエルコンドルパサーがどのようなレースでどのように勝つのかの一点に注目が集まりました。
スタートしてまず先頭を伺うのが2番人気でスプリンターのトキオパーフェクト。スタートも良くスピードの違いですっと前に出ましたが、それを制して外からアマロが先頭に立ちます。
トキオパーフェクトはそのまま進み2番手の外、エルコンドルパサーもその直後4番手の外の絶好の位置取りを確保します。不利を受けることもなく、ペース的にも絶好であったこの位置を確保した時点で、もしかしたらこの時点ですでに勝負は決まっていたのかもしれません。
その他の有力馬は、ロードアックスは後方の馬郡の中、シンコウエドワードは5~6番手の内ラチ沿いピッタリを回っていました。
順調にレースが進む中、最終コーナーでエルコンドルパサーに若干の不利が生じます。特にほかの馬の影響があったわけではなさそうでしたが真ん中から大外に膨れてしまい、直線向くときに若干の距離のロスが生じました。
しかし、このくらいの不利はエルコンドルパサーにとってハンデにもならず、体勢を立て直して大外から直線に向かいます。
直線に入って早々に距離のせいかトキオパーフェクトが脱落し内側でロスなく回ってきたアマロが先頭に立ち、それを内からシンコウエドワードとスギノキューティー、外からエルコンドルパサーも追いかける形となります。
しかしそれもつかの間、直線半ばにはエルコンドルパサーが楽々と先頭に立ちそのままゴールに向かいます。
最後まで内側でシンコウエドワードが粘り、大外からは最後にゲイリーセイヴァーもやってきましたがすでに決着はついた後、エルコンドルパサーがそのまま危なげなく押し切り一着でゴール、NHKマイルカップの三代目の覇者となりました。

○感想
当時の正直な感想としましては、エルコンドルパサーが思っていたより強くないと感じていました。
※これはもちろん間違いで、少しでもこんな考えを持ってしまったのが恥ずかしい限りです……
GIを優勝した馬に強くないとは失礼な話ですが、グラスワンダーがいない中であればもっと圧倒的な強さを見せてほしかったというのが本音でした。
改めてレースを見ると全く危なげなく、着差こそついてはいませんが圧勝しているのですが、前年のグラスワンダーの強さを見ていたのでもし回避していなければグラスワンダーが勝っていたのではないかという意見が当時は多くありました。
しかし、距離的にも血統から当時はマイル位がベストと判断されておりましたがこの後の活躍を見ますと適正距離ではない中での圧勝であり、このレースを通過点としてエルコンドルパサーは日本を代表する名馬へと駆け上がりました。
この年のジャパンカップを3歳馬にして優勝、翌年の海外遠征では凱旋門賞こそ2着でしたが、欧州のクラシックディスタンスで対等な勝負ができた最初の日本馬であったと思います。
願わくば、グラスワンダーとG1の舞台で、お互いが力の出せる状態で戦ってもらいたかったと今でも思っています。

○リンク 

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