UMA-YUME ブログ

競馬ーギャンブル=ロマン

名レース列伝 第7回 「第77回東京優駿 ダービー(2010年)」

f:id:UMA_YUME:20190402202549j:plain]
○基本情報
 日時  2010年5月30日
 競馬場 3回東京4日目
 距離  芝左2400m
 馬場  芝 : 良
 結果  1着 エイシンフラッシュ
     2着 ローズキングダム
     3着 ヴィクトワールピサ

db.netkeiba.com

○背景

第7回目の名レース列伝は第77回の日本ダービーです。
3歳馬のNo1を決める頂上決戦であるダービーは、競馬界の最高峰のレースです。
ダービー馬・ダービージョッキー・ダービートレーナーという称号は、競馬関係者の中では最高の栄誉になります。
そんな中この年のダービーの出走馬は空前のハイレベルなメンバーが揃い、勝っておかしくない馬が何頭もいました。
本命は新馬戦こそ2着でしたがそこから5連勝で皐月賞を制したヴィクトワールピサ(ちなみに初戦からすべて1番人気でした)。
2番人気はデビューから4連勝で青葉賞を制し名門藤沢厩舎の秘密兵器たペルーサ(こちらも初戦からすべて1番人気です)。
3番人気は皐月賞は2着ながらも上がり3ハロンは最速で東京向きと思われていたヒルノダムール
4番人気はエアグルーブ産駒でアドマイヤグルーヴの弟にしてトライアルのプリンシパルSを圧勝したルーラシップ。
5番人気はローズバド産駒という良血に朝日フューチュリティを勝利し皐月賞は4着でしたローズキングダム
そして実際にレースを勝利したエイシンフラッシュは7番人気でしたが京成杯勝馬で休み明けの皐月賞で4着でした。
またレース当日に故障により回避となってしまいましたが、NHKマイルカップを豪快に差し切って勝利したダノンシャンティもいました。
これらの馬は後にG1を勝利する馬も多く、有力馬がここまで順調にダービーに揃うということはなかなかなく、自分が知っている中でも一番の出走馬のレベルであったと思います。
例年であれば本命になってもおかしくない馬が高次元で揃い、ダービー馬の称号をかけてレースに挑みます。

○レース

高次元のメンバーが揃ったせいもあるのか、レース自体も今までにない特殊な流れのレースとなりました。
スタートしてまず2番人気のペルーサが若干出遅れ場内はどよめきます。
逃げたのは伏兵のアゼリアでしたがあまり飛ばすこともなく、ゆったりとしたペースとなります。
有力馬は、ヴィクトワールピサが先行しその少し後ろにルーラシップとローズキングダム、中段のやや後ろからエイシンフラッシュヒルノダムール、出遅れたペルーサは後方からの競馬となります。
中々ペースが上がらない中レースは進み、本来はスローペースを嫌がり後方から動いてくる馬がいてもおかしくない展開でしたが、ダービーの独特の重圧のせいかレベルの高いメンバーがお互いを警戒したせいか全く隊列は変わらず、むしろ3コーナー頃ではさらにペースが緩み先頭から最高峰までがギュッと縮まり団子状態となりました。
4コーナーで若干ペルーサが後方から中断まで追い上げにかかりますが、捲っていくまでには至らずに大きく体制は変わりません。
そしてペースが上がることなく団子状態のまま最後の直線に向かいますが、前の馬もスローペースで力を残していた為中々抜け出す馬がおらずこの時点でもどの馬が抜け出してくるのか分からない状態でした。
そんな中、5~6頭が横一線で並んでいる中からラスト200メートルの地点を過ぎる頃にエイシンフラッシュが真ん中から抜け出し、その外からはローズキングダム、うちがわからヴィクトワールピサが狭いところをこじ開けるように追いかけます。
しかし一旦抜け出したエイシンフラッシュの勢いは最後まで衰えることはなく、そのままローズキングダムを首差しのぎ切ったところがゴールでした。
そこから少し遅れた3着にヴィクトワールピサ、2番人気のペルーサと3番人気のヒルノダムールは後方から追い上げるも前が止まらず6着と9着に終わりました。

○感想

超がつくほどのスローペースのレースとなったダービーは究極の上がり勝負の決着となりました。
レースのラスト3ハロンは33.4、優勝したエイシンフラッシュに至っては究極ともいえる32.7秒の上りを記録しました。
今回のレースは展開でエイシンフラッシュの優勝に成りましたが、まさしく同じメンバーでもう一度走ったら全然違う結果となってもおかしくないと思います。
しかし、エイシンフラッシュが展開や枠順に恵まれただけかというと決してそういうわけではなく、この後に古馬となってもG1で善戦し天皇賞も勝ちますので十分に力のあった馬でした。
あくまで今回は究極の上がり勝負に向いていたエイシンフラッシュに軍配は上がりましたが、それは高次元の馬の争いの中での話でありエイシンフラッシュのレースは十分にダービー馬に値するものでした。
また、今回敗退したその他の馬についてですが、ロースキングダムは3歳の秋にジャパンカップを勝ち(降着による繰り上げではありましたが……)、ヴィクトワールピサはこの後三歳で凱旋門賞に挑戦し年末の有馬記念では3歳馬としてを優勝、4歳になってからはドバイワールドカップも優勝します。
ルーラシップは香港のクイーンエリザベスCを、ヒルノダムール天皇賞春を古馬になってから勝利し、後から見てものちのG1 ばが多くレベルの高いメンバーであったことがわかります。
ペルーサだけは残念ながら最後まで善戦マンとして終わってしまいましたが……
近年は使い分けが多く、有力馬同士の戦いが少なくなってきましたが(もちろんダービーは別ですが……)、こういった強豪馬同士のレースは見ていて本当に面白く熱くなります。
できることでしたら、これからもこういった本当の意味でのG1をもっと多く見たいものです。

○リンク 

youtu.be