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名レース列伝 第6回 「第66回優駿牝馬 オークス(2005年)」

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○基本情報
 日時  2005年5月22日
 競馬場 3回東京2日目
 距離  芝左2400m
 馬場  芝 : 良
 結果  1着 シーザリオ
     2着 エアメサイア
     3着 ディアデラノビア

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○背景

第6回目の名レース列伝は第66回のオークスです。
3歳牝馬によるクラシックの第二弾で、桜花賞組が中心ではあるものの距離の違いから、ダービーとは違い別路線組の大頭も多いレースです。
そしてこの年のオークスは、桜花賞馬であるラインクラフトが当時では珍しくその距離適性からNHKマイルカップに回った為回避。
それでも、桜花賞ではラインクラフトを超える一番人気で戦線の末2着であったシーザリオ桜花賞は4着も母はオークス2着のエアデジャブーでサンデーサイレンス産駒の良血馬エアメサイア、同じくサンデーサイレンス産駒でトライアルのフローラSを鋭い末脚で勝利しで鞍上は世界のデザーモを配したディアデラノビア等有力馬が多数いました。
なかでもシーザリオ桜花賞の敗退は距離適性の差で、桜花賞の前は1800mのフラワーカップ、2000mの寒竹賞を快勝していたため、距離の長いオークスではラインクラフトがいても一番人気であったのではないかと思われます。
また、シーザリオの鞍上は桜花賞でこそラインクラフトに騎乗の為地方名古屋の吉田稔騎手に譲りましたが、本来の主戦の福永騎手に代わり万全の態勢でオークスに臨みました。
(決して桜花賞吉田稔騎手がダメだったわけではありませんが……)
ラインクラフトがいない負けるわけにはいかないシーザリオの走りに注目が集まっていた一戦です。

○レース

まず注目されていたのはシーザリオの位置取りです。
桜花賞こそ距離のせいか後ろからの競馬で鋭い末脚をみせていましたが、それまでのレースは先行して流れに乗って押し切る競馬をしていたため、前から行くのか後ろからの競馬となるのか注目されていました。
互角のスタートだったシーザリオですが、それよりも好スタートを決めた隣枠のエアメサイア武豊騎手がすっと前に出たことにより前に行けなかったシーザリオはそのまま後方の馬群の中に納まります。
逃げたのは伏兵のエイシンテンダーで、競りかける馬もいなかったため例年通りのスローペースでレースは進んでいきます。
エイシンテンダーの騎手は武豊騎手の弟武幸四郎騎手でしたが、もちろん後ろの状態がわかっていたわけではないと思うので結果論になりますが兄のエアメサイアに対して完璧な流れを作り出します。
向こう正面では中段からエアメサイアが抜群の手ごたえで前をうかがい、その少し後ろでディアデラノビアが若干引っ掛かりそうなところをデザーモ騎手の剛腕で抑え込みながら追走、一方のシーザリオは後方の馬群の中のままでした。
スローペースの中であれば早めに上がっていきたくなるところだと思いますが、シーザリオの福永騎手は馬の力を信じていたのか全く動かずに前走の桜花賞と同じように直線にすべてをかけるように後方からレースを進みます。
最終コーナーをまわり直線に入ってまずはスローペースで力が残っていたエイシンテンダーが先頭で、エアメサイア武豊騎手はすっと馬場の真ん中から不利のない完璧なコースどりで先頭を追い、ディアデラノビアもすぐ後ろから追いかけます。。
さらにその後ろにいたシーザリオは最終コーナーをまわったところで前が少しつまり追い出すのが一瞬遅れる形となり、さらに直線にはいってからも一旦前があかず大外に持ち出すふりを受け遅れますが懸命に福永騎手の鞭に答えて前を追いかけます。
先頭は伏兵のエイシンテンダー武幸四郎機種が必至で逃げてラスト200mのところでは抜け出し単独で先頭、一瞬まさかと思わせそのまま100mをすぎても先頭のままでしたが、そのすぐ後ろからせまるエアメサイアがラスト50mくらいで何とか競り落として先頭に立ちます。
そしてエアメサイアが先頭に立ったのもつかの間、その外からディアデラノビアとさらにその外からシーザリオが襲い掛かります。
そしてゴール直前でシーザリオエアメサイアを首差交わしたところがゴール、2着エアメサイアでそこから首差でディアデラノビアという123番人気が人気通りの着順で決着となりました。

○感想

百戦錬磨の武豊騎手が完ぺきな競馬をしたエアメサイア、また結果的に最高のアシストをした武幸四郎騎手とエイシンテンダーエアメサイアを徹底マークして勝負を挑んだ剛腕デザーモ騎手、それらを大きくはないながらも不利を受けながらも力づくでねじ伏せたシーザリオと福永騎手。
近年の高速馬場では珍しくはなくなりましたが、シーザリオのラスト3ハロンは当時の3歳牝馬の春としては驚異的な33.3秒を記録していました。
決して福永騎手に大きな問題があったとは思いませんが、徹底マークされた一番人気のシーザリオがそれがどうしたと言わんばかりのレースで力を見せつけてくれました。
その後シーザリオアメリカにわたりアメリカンオークスというG1を制覇。これは日本で最初のアメリカでのG1勝利となりました。
しかしそのレースでけがを負いそのまま引退となりましたが、産駒からはエピファネイアリオンディーズ・サートゥルナーリアという3頭のG1馬をだし、サートゥルナーリアに関しては次のダービーでの活躍も期待されております。
シーザリオの競走馬としての期間は短かったですが一番底力を見せたのが今回のオークスで、その底力を継承した産駒の今後の活躍に期待したいと思います。

○リンク 

youtu.be